最近TSMCを日本に誘致するって話で、プロセスが22nmと28nmの古いプロセスとかメディアが言ってるの聞いて若干違和感あったんで調べてみた。
違和感があったのは、実際の車両で量産出来てるプロセッサのプロセスってそんな細かいのあったっけ?っていう部分。
んで、有名どころだとNVIDIAとかいるけど、そういやこいつも自動車向けで採用されて量産されたって聞いたことないなーと思ったので、NVIDIAの自動車向けコンピュータってどうなってるか調べてみた。
調べてみると、エヌビディアは車用のコンピュータとして、NVIDIA DRIVEってものを作ってるらしい。
英語のWikipediaしかページ無かったけど、ちまちま見てみると、LaunchedはずっとN/Aで、実績は?って見ると2022予定。。。
つまり、ずっと量産までは行ってないってことっぽい。
2022年に出すって言うのも、Volvoが出す予定がそうなってるって感じみたい。2018年10月10日のNVIDIAのリリースだと、「Volvo、量産車に NVIDIA DRIVE を搭載」って見出しで、2020年代初頭にって書いてあるから一応スケジュール通りって感じなのかな?
ここまで量産車への搭載実績が無いと、一番気になるのは信頼性ですね。一応Plusというベンチャーの自動運転トラックメーカーが、NVIDIA DRIVE Xavier(エグゼビア)を用いたものを、Amazonに1000台導入したらしいです。ただ、これは試作車的なものの様なので、出してからまだまだデバッグするって感じですかね。
となると、2022年にボルボがXC90に採用すると言ってるものが、本当の量産ということになりそうです。これにはOrinという7nmプロセスのものが使われるみたいです。
これがちゃんと使えるなら、確かにTSMCの22nmとか28nmは古いと言えますね。
ただ、既存のクルマで使ってるECUってそんなに性能がいるわけじゃないので、プロセスを単純に上げてもただのコストアップにしかならず、複数のECUをまとめてコストダウンするということと併せてやる必要があると思います。7nmプロセスの性能なんて当然ながらいらないわけですが、22nmでも、自動車メーカーがECU統合を進めていかないと、採用されないんじゃないかなーという気はします。まあ、そもそもで、TSMCがちゃんと自動車向けに使える品質のものをちゃんと作れるのかという問題もありますが。
車のモーターみたいに数百Aの電流が通るものの近くだと、周辺のハーネスにそこそこの誘導電流でるはずです。半導体って微細化すると基本的に磁場耐性が厳しくなるはずなので、NVIDIAにしろ、TSMCにしろ、実際の量産車にどの程度採用されていくかに注目ですね。
2021/12/05, 追記
NXP SemiconductorsがTSMCの16nm技術を用いて車載プロセッサを量産開始してるみたいです。(ref)
作ってるのは、車載ネットワークプロセッサ「S32G2」とレーダープロセッサ「S32R294」というものらしい。
S32G2は、安全に車のデータをアップデートするための、ルーターモジュールって感じ。S32R294は、死角検知とか車線変更支援なんかの先進安全機能向けのチップのようです。
S32G2は、「2021 Ford F-150ピックアップ」、「Mustang Mach-E」、「Bronco SUV」など、米Ford Motorのクルマに採用されたとのこと。(ref)
Fordは、NXPのS32G2とi.MX 8で通信と演算をさせる構成みたいですね。i.MX 8は、 ArmのCortex-A53 1.5GHz x 4, Cortex-A72 x 2, Cortex-M4を2ユニットという感じ。
マイコンはArmが強いって感じですかね。
レーダープロセッサのS32R294の方は、搭載車両の情報が出てこなかったので、まだ発売前なのかな。
まあ通信は信頼性低くても異常検知さえしっかり出来てればフェールで落とすだけなので、先進安全機能のS32R294を搭載した車がちゃんと量産されるかがチェック項目ですね。
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